甘い恋をおしえて
もう佑貴はリビングにいた。
大振りな茶のレザーのソファーにゆったりと座っている。滑らかな手触りのレザーが佑貴のお気に入りだ。
彼もシャワーを浴びたのか少し毛先が濡れているし、スーツから楽な部屋着に着替えていた。
(ズルいな……)
ラフな服装になっても、彼は絵になるのだ。
筋肉質な体は隠しようがないし、背筋がピンと伸びて姿勢がいい。
子どもの頃のお茶席でも凛とした雰囲気はあったが、今はそれに加えて逞しさを感じる。
「お待たせしました」
「いや」
グラスとシャンパンは彼が用意したのかテーブルに置いてある。
「なにかつまむものを用意しましょうか?」
「ああ、簡単なものでいい」
さっとキッチンに立つと、莉帆はクリームチーズとアボカドを和えたものやカナッペを皿に盛った。
五分もかからなかっただろうか。
リビングに戻ると、佑貴が驚いた顔をした。
「どうぞ」
「ああ」
そう言いながらシャンパンを開け、莉帆にグラスを持たせて注いでくれた。