甘い恋をおしえて
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わずかなシャンパンに酔ったのか、過ぎた日のことを思い出していた。
だが、悔やんでも事実は消せないのだ。
莉帆に呼ばれた気がして、思いを振り切った。
「……佑貴さん?」
「ああ、なんだ?」
莉帆を見ると、目元がほんのり赤くなって色っぽい表情になっている。
めったに飲まないと言っていたから少し酔っているのだろう。
「大丈夫か?」
逆に声をかけたら、驚いたように目を見開いた。
「あ、あの……」
「なんだ?」
「よかったら、お尋ねしたいことが……あるのですが」
おずおずといった感じで莉帆が口にする。
「佑貴さん、どんな女性がお好きなんですか?」
思わずシャンパンを吹き出すかと思った。
まさか妻に好きな女性のタイプを聞かれる日がくるとは思ってもいなかった。
「どうしてそんなことを?」
ひと呼吸おいてから、なるべく冷静に聞き返してみた。
「あなたに相応しい方がどんなタイプなのか考えていて」
また吹き出すかと思うほど、衝撃的な言葉を妻は口にした。