甘い恋をおしえて



「君がそんなことを考えてどうする?」
「あなたが私との結婚が嫌なんだったら、どんな方ならいいのかと思って」

そういうと、莉帆は佑貴の前にファイルを置いた。
いくつかを手に取って中を見ると、名家の令嬢のプロフイールだった。

「個人的に素敵だなと思っているのは有栖川家のお血筋の……」
「いや、待ってくれ! これはなんだ!」

一気に酔いが醒めそうな衝撃に、佑貴は声を荒げていた。

「私ではあなたの子を産めないので」

「は?」

我ながら間抜けな声が出た。

「あなたが再婚してもいいと思える方がこの中にいればなと思ったんです」

酔っているのか、テーブルの上にトランプを並べるようにファイルを広げていく。
どこか楽しそうにも見える莉帆は、いつになく饒舌だ。

「だから、あなたのお好きなタイプをお聞きしたくて」

佑貴は頭が痛くなってきた。
キッチリと何人もファイルにまとめている莉帆も莉帆だ。

「君は、俺と別れたいのか?」

佑貴も酔った勢いを借りて、ずっと知りたかったことを莉帆に問いかけた。




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