甘い恋をおしえて
莉帆は急に口を閉じた。
喋り過ぎたと思ったのかもしれないし、酔った勢いだから話せたのかもしれない。
そのままじっと顔を見つめて、莉帆が口を開くのを待っていた。
莉帆がいきなりポロリと涙を溢す。
莉帆の口から零れてきたのは、佑貴を非難する言葉だった。
「だって、仕方ないじゃないですか。あなた、触れたくないほど私がキライなんでしょ?」
「それは」
佑貴にだって意地がある。
家のために結婚の話を受けた莉帆を『抱け』『子どもを作れ』といわれてもプライドが許さない。
「私、ちゃんと奥さんになろうと思っていたのに」
そう言って俯く莉帆。肩が少し震えている。
(泣いているのか)
ちゃんと妻になるとは、俺に抱かれてもいいということかと思うと自然に手が伸びた。
「莉帆」
柔らかな頬に触れる。
驚くようにこっちを向いた莉帆の目には涙の雫が溜まっていた。
半ば開いた唇が、誘っているようにすら思えてくる。
「いいのか?」
それだけ言うと返事も待たずにソファーに莉帆を押し倒した。
唇を奪い、そのなめらかさを堪能する。
シャンパンの香りがお互いの口腔から溢れるが、気にもならない。
「あ……んん……」
不慣れなキスを返してくる莉帆が愛しかった。
リビングのソファーの上だというのに、佑貴の動きはもう止まれない。