甘い恋をおしえて
「宮川家の闇をなにも知らずに、莉帆は俺と結婚したんですね」
「そうよ。だからあなたには彼女を大切にしてほしかった」
「それは……」
どこまで叔母に知られているのかわからず、口ごもった。
「あなたと結婚させたことを後悔してたところ。彼女も離婚したいと思ってるみたいだし」
「え?」
初めて離婚という言葉が現実味を帯びてきた。
「あなたなんか、彼女にはもったいなかったわ」
つまらないものを見るような目で、ソファーに座ったまま千紘は佑貴を見上げた。
男としてというより、残念な生き物を見る目つきだ。
「待ってください、莉帆は離婚したがってるんですか?」
話が飛躍してきて、佑貴は焦った。
「そうよ。あなたの母親が煩いせいね!」
「母が? なにを言ったんですか?」
開き直ったのか、千紘の口は軽かった。佑貴が知らなかったことが次々に飛び出してくる。
「顔さえ見れば子ども子ども、まあ。後継ぎが早くほしいって言ってたから仕方ないけど」
「まだ早いって言っておいたのに!」
「でも、莉帆さんには限界だったみたい」
「限界って?」
「自分は子どもが産めないって言ったのよ」
「ああ、それは……」