甘い恋をおしえて


サッカー部の合宿所になった箱根の保養所は真新しい建物で、ホテルとも思えるような施設だった。
しかも、サッカー部に提供されたのは別棟の研修センターだ。
サッカー専用のグランドはセンターから車で五分の距離にあるらしい。

バスから降り立った学生たちも豪華さに驚いている。

「ここが、保養所ですか?」

莉帆も思わず譲二に尋ねた。

「立派でしょ。私が日本でプレーしていた時のチームのスポンサーが持っているんです。今回ご厚意で研修センターをお借りできました」

「スポンサーというと?」
「宮川商事グループです。傘下の会社の人たちのために箱根に作ったようです」

「えっ?」
「大きな会社だからご存知ですよね」
「ええ……」

まさかこんな所で宮川の名前を聞くなんて、偶然にしても信じられなかった。
莉帆は事前にキチンと確認していなかったことが悔やまれた。

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