甘い恋をおしえて
怒りを込めた佑貴の言葉に、梓はムッとした表情だ。
「今さらでしょう」
淡々と言葉を返している梓だが、怒りで震える手を膝の上でギュッと握った。
「どういう意味ですか」
「だって、莉帆はあなたに手紙を出しました。返事はなかったって言ってたわ」
「え?」
佑貴は耳を疑った。莉帆からの手紙など受け取った記憶はない。
ましてや妊娠を告げるものなら忘れるわけがない。
「子どもを無視したのはあなたでしょ! 莉帆の手紙だって読まずに捨てたんじゃない?」
梓の言葉使いが荒れてきた。もうなりふり構っていられないようだ。
「まさか!」
急に顔色を変えた佑貴を見て梓も不信に思ったのか、もう一度念をおしてきた。
「……ほんとに? あなた、なにも知らなかったの? 手紙のことも、妊娠のことも」
佑貴の青白くなった顔をみて、梓は心配そうに尋ねた。彼が嘘をついていないのではと感じたらしい。
佑貴はソファーからゆっくり立ち上がると、ひと言だけ梓に告げた。
「離婚の後、なにがあったのか真実を調べます」