大嫌いの先にあるもの
「まだここで飲むのかい?」
「ダメなの?」
ちょっと怒ったような表情で春音がこっちを見た。
「ダメじゃないけどさ」
春音から奪った中身がほとんど残っていないやつを飲み切ると、次のビールを取り出した。
「まだ飲むの?」
プルタブを開くと同じ事を春音が聞いた。
「春音が飲んでいるからね」
「無理につき合わなくていいのに」
「別に無理していないよ。じゃあ、乾杯」
春音の持っている缶ビールと合わせると、小さな声で春音も「乾杯」と言った。一緒に飲む事を同意してくれたみたいで嬉しい。
「もう、やだって何?」
気になっていた事を口にした。
「えっ」
「ビール飲む前に言ってたやつ」
春音の顔がいきなり真っ赤になった。
「顔が真っ赤だぞ」
「だっていきなり聞いてくるから」
「真っ赤になるような事があったのか?」
「うん。まあ」
ごにょごにょと春音が言いづらそうに何か呟いた。
「小さな声で話されても聞こえないんだが」
「だから、その……見たの」
「何を?」
「き、……キスシーン」
春音が恥ずかしそうに言うから、こっちまで恥ずかしくなってくる。
「キスなんてバーの客がよくしてるじゃないか。動揺する程の事か?」
「バーではまだない」
「じゃあ、これから見るよ」
「変な事言わないでよ。もうっ」
春音に肩を叩かれた。あまり力が入っていないから痛くはない。手加減されている事が何だかくすぐったい。
「本当、黒須って意地悪な所あるよね」
春音が唇を尖らせる。小学生みたいな怒り方でおかしい。
「春音がキス一つで赤くなるからいじめたくなるんだ」
「キス一つって。あのね、私が見たのは凄いやつだったんだから」
むきになったように春音が睨んで来た。
「ダメなの?」
ちょっと怒ったような表情で春音がこっちを見た。
「ダメじゃないけどさ」
春音から奪った中身がほとんど残っていないやつを飲み切ると、次のビールを取り出した。
「まだ飲むの?」
プルタブを開くと同じ事を春音が聞いた。
「春音が飲んでいるからね」
「無理につき合わなくていいのに」
「別に無理していないよ。じゃあ、乾杯」
春音の持っている缶ビールと合わせると、小さな声で春音も「乾杯」と言った。一緒に飲む事を同意してくれたみたいで嬉しい。
「もう、やだって何?」
気になっていた事を口にした。
「えっ」
「ビール飲む前に言ってたやつ」
春音の顔がいきなり真っ赤になった。
「顔が真っ赤だぞ」
「だっていきなり聞いてくるから」
「真っ赤になるような事があったのか?」
「うん。まあ」
ごにょごにょと春音が言いづらそうに何か呟いた。
「小さな声で話されても聞こえないんだが」
「だから、その……見たの」
「何を?」
「き、……キスシーン」
春音が恥ずかしそうに言うから、こっちまで恥ずかしくなってくる。
「キスなんてバーの客がよくしてるじゃないか。動揺する程の事か?」
「バーではまだない」
「じゃあ、これから見るよ」
「変な事言わないでよ。もうっ」
春音に肩を叩かれた。あまり力が入っていないから痛くはない。手加減されている事が何だかくすぐったい。
「本当、黒須って意地悪な所あるよね」
春音が唇を尖らせる。小学生みたいな怒り方でおかしい。
「春音がキス一つで赤くなるからいじめたくなるんだ」
「キス一つって。あのね、私が見たのは凄いやつだったんだから」
むきになったように春音が睨んで来た。