大嫌いの先にあるもの
「春音は全然、僕の気持ちをわかってない。二度と会わないなんて言うな。ヒヤッとするだろ」
怒ったような声が耳のすぐ近くで聞こえた。
目の前には紺色のネクタイがあった。
ネクタイの三角形の結び目を見つめながら、言われた言葉の意味を考えて、ハッとした。
これはお別れの儀式じゃない。
じゃあ、何?
恐る恐る顔を上げると、黒い瞳とぶつかった。
訳のわからない不安に包まれ、何と言ったらいいのかわからない。
黙ったままでいると、くいっと顎を掴まれて、そのまま唇が重なった。頭の奥がぼーっとする程、激しいキス。
ここは美香ちゃんのお墓の前なのに。
美香ちゃんにも見られても平気なの?
このキスは見られても平気なぐらい何でもないって事?
キスを受けながら、どんどん悲しくなってくる。
黒須の気持ちがわからない。どうしてこんな事をするの?
「春音、泣いてるのか?」
黒須が驚いたように唇を離した。
その隙に、黒須の腕から逃げた。
「こんなの訳わかんないよ。美香ちゃんのお墓の前でこんな事……」
黒須がハッとしたように、墓石の方に視線を向け、それから私を見た。
「春音が二度と会わないなんて事を言うから、こっちだって余裕がなくなるんだ。確かに、美香の前ではまずかった。ごめん」
なんか私と会えなくなる事が嫌だって言っているみたい。
都合のいい解釈し過ぎかな?
「僕はこういう事は苦手なんだ」
黒須が短く息をついた。
「こういう事って?」
目が合うと、黒須が気まずそうに頬をかいた。
怒ったような声が耳のすぐ近くで聞こえた。
目の前には紺色のネクタイがあった。
ネクタイの三角形の結び目を見つめながら、言われた言葉の意味を考えて、ハッとした。
これはお別れの儀式じゃない。
じゃあ、何?
恐る恐る顔を上げると、黒い瞳とぶつかった。
訳のわからない不安に包まれ、何と言ったらいいのかわからない。
黙ったままでいると、くいっと顎を掴まれて、そのまま唇が重なった。頭の奥がぼーっとする程、激しいキス。
ここは美香ちゃんのお墓の前なのに。
美香ちゃんにも見られても平気なの?
このキスは見られても平気なぐらい何でもないって事?
キスを受けながら、どんどん悲しくなってくる。
黒須の気持ちがわからない。どうしてこんな事をするの?
「春音、泣いてるのか?」
黒須が驚いたように唇を離した。
その隙に、黒須の腕から逃げた。
「こんなの訳わかんないよ。美香ちゃんのお墓の前でこんな事……」
黒須がハッとしたように、墓石の方に視線を向け、それから私を見た。
「春音が二度と会わないなんて事を言うから、こっちだって余裕がなくなるんだ。確かに、美香の前ではまずかった。ごめん」
なんか私と会えなくなる事が嫌だって言っているみたい。
都合のいい解釈し過ぎかな?
「僕はこういう事は苦手なんだ」
黒須が短く息をついた。
「こういう事って?」
目が合うと、黒須が気まずそうに頬をかいた。