大嫌いの先にあるもの
夜9時頃、【Blue&Devil】に顔を出した。
バーが入ってる5階建てのビルを所有してて、5階が僕の住居となってる。
なので、バーも僕の家みたいなものだ。
今夜もライブをやってて盛況だった。
ステージ上ではうちの歌姫愛理が『Lullaby of Birdland』を可愛らしく歌い上げている。
百ある客席はほぼ満席だった。
敏腕マネージャーの相沢のおかげだ。経営は彼に任せている。
僕はふらっと立ち寄って酒を飲むぐらいで、口出しはしない。
ステージ近くのカウンター席に腰を下ろすと、何も言わなくてもバーテンダーの宮本君がゴッドファーザーを作ってくれる。
ウィスキーとアマレットを混ぜたカクテルで、アーモンドの風味を楽しめる。
「オーナー、今夜はお一人ですか?」
宮本君がカウンターにゴットファザーを置きながら言った。
「デートの相手にふられてね」
「そうは見えませんけどね。今夜もオーナー目当ての子が沢山来てましたよ」
「みんな僕の財布目当てなんだよ」
宮本君が誠実そうな笑みを浮かべた。25才の好青年だ。
三年前に僕がオーナーになってからこの店で働いてて、バーではよく話し相手になってくれてる。
「スマホ鳴ってるんじゃないんですか?」
ステージの方に気を向けていたら、宮本君が教えてくれた。
カウンターの上に置いていたスマホが着信を表す点滅をしている。
画面を見ると“春音”という名前が表示されてて、びっくりした。
バーが入ってる5階建てのビルを所有してて、5階が僕の住居となってる。
なので、バーも僕の家みたいなものだ。
今夜もライブをやってて盛況だった。
ステージ上ではうちの歌姫愛理が『Lullaby of Birdland』を可愛らしく歌い上げている。
百ある客席はほぼ満席だった。
敏腕マネージャーの相沢のおかげだ。経営は彼に任せている。
僕はふらっと立ち寄って酒を飲むぐらいで、口出しはしない。
ステージ近くのカウンター席に腰を下ろすと、何も言わなくてもバーテンダーの宮本君がゴッドファーザーを作ってくれる。
ウィスキーとアマレットを混ぜたカクテルで、アーモンドの風味を楽しめる。
「オーナー、今夜はお一人ですか?」
宮本君がカウンターにゴットファザーを置きながら言った。
「デートの相手にふられてね」
「そうは見えませんけどね。今夜もオーナー目当ての子が沢山来てましたよ」
「みんな僕の財布目当てなんだよ」
宮本君が誠実そうな笑みを浮かべた。25才の好青年だ。
三年前に僕がオーナーになってからこの店で働いてて、バーではよく話し相手になってくれてる。
「スマホ鳴ってるんじゃないんですか?」
ステージの方に気を向けていたら、宮本君が教えてくれた。
カウンターの上に置いていたスマホが着信を表す点滅をしている。
画面を見ると“春音”という名前が表示されてて、びっくりした。