大嫌いの先にあるもの
デヴィッドはジャニスの隣の家に住んでいた同じ年の男の子で、ジャニスが中学生の時にデヴィッドの両親が離婚し、引っ越したらしい。引っ越した後も連絡を取り合うぐらいに親しくしていたそうだ。
そしてデヴィッドが母親に連れられて引っ越した先は偶然にもこのロサンゼルスだったらしい。
「どこに行けばデヴィッドに会えますか?」
叔母さんが難しい表情を浮かべた。
「ミスター・クロス。デヴィッドには会わない方がいいわ。昔は優しい子だったけど、今はギャングをやっているそうよ。会うのは危険よ。あなたは銃も持っていないんでしょ?」
「拳には少し自信があります。学生時代はボクシングをやっていましたから。それに護身術も習った事があります。自分の身程度は守れます」
「危ないわ」
「お願いです。どうしても会わなければいけないんです。ジャニスと美香が死ななければいけなかった理由を僕は知りたいんです」
「気持ちはわかるけど、あなたまで天国に旅立つ事になったら私はジャニスになんと言って謝ればいいの?」
ヘーゼルの瞳が心配そうに見つめていた。
これ以上は無理か。
「無理を言ってすみませんでした。最後にジャニスの遺品を見せて頂きたいのですが」
「電話でそう言っていたわね。ちょっと待っててちょうだい」
叔母さんが席を立ち、奥の部屋から段ボールを抱えて戻って来た。
「これが私がもらった遺品よ」
「失礼します」
段ボールの中には楽譜と混ざってノートが三冊に、アルバムが入っていた。
アルバムを開くとニューヨークのロックフェラーセンター前のクリスマスツリーのそばで微笑むジャニスの姿があった。
それからライブハウスやクラブでの写真。後半のページまで来ると、手が止まった。そこにあったのは仲睦まじい様子で写る美香とジャニスのツーショット。ジャニスも美香もお揃いの赤いドレス姿で、幸せそうに微笑んでいる。
同じ写真を美香のアルバムでも見た事がある。確か学校主催のジャズライブを開いた時の物だと言っていた。
胸が熱くなった。
写真の2人がもうこの世にいないなんて悲し過ぎる。生きていれば美香とジャニスは30歳になっている。ジャズピアニストとして素晴らしい活躍をしていただろう。美香はお母さんになっていたかもしれない……。
「ミスター・クロス、大丈夫?」
アルバムを見つめていたら、叔母さんが優しく声をかけてくれた。
「やっぱりデヴィッドに会いたいんです。2人が二十代の若さで亡くなったのがあまりにも無念です。お願いします。教えて下さい」
叔母さんが困ったように微笑み、見ていたアルバムのページを捲った。
「この子がデヴィッドよ」
叔母さんが指した写真には金髪のいかつい男が写っていた。
そしてデヴィッドが母親に連れられて引っ越した先は偶然にもこのロサンゼルスだったらしい。
「どこに行けばデヴィッドに会えますか?」
叔母さんが難しい表情を浮かべた。
「ミスター・クロス。デヴィッドには会わない方がいいわ。昔は優しい子だったけど、今はギャングをやっているそうよ。会うのは危険よ。あなたは銃も持っていないんでしょ?」
「拳には少し自信があります。学生時代はボクシングをやっていましたから。それに護身術も習った事があります。自分の身程度は守れます」
「危ないわ」
「お願いです。どうしても会わなければいけないんです。ジャニスと美香が死ななければいけなかった理由を僕は知りたいんです」
「気持ちはわかるけど、あなたまで天国に旅立つ事になったら私はジャニスになんと言って謝ればいいの?」
ヘーゼルの瞳が心配そうに見つめていた。
これ以上は無理か。
「無理を言ってすみませんでした。最後にジャニスの遺品を見せて頂きたいのですが」
「電話でそう言っていたわね。ちょっと待っててちょうだい」
叔母さんが席を立ち、奥の部屋から段ボールを抱えて戻って来た。
「これが私がもらった遺品よ」
「失礼します」
段ボールの中には楽譜と混ざってノートが三冊に、アルバムが入っていた。
アルバムを開くとニューヨークのロックフェラーセンター前のクリスマスツリーのそばで微笑むジャニスの姿があった。
それからライブハウスやクラブでの写真。後半のページまで来ると、手が止まった。そこにあったのは仲睦まじい様子で写る美香とジャニスのツーショット。ジャニスも美香もお揃いの赤いドレス姿で、幸せそうに微笑んでいる。
同じ写真を美香のアルバムでも見た事がある。確か学校主催のジャズライブを開いた時の物だと言っていた。
胸が熱くなった。
写真の2人がもうこの世にいないなんて悲し過ぎる。生きていれば美香とジャニスは30歳になっている。ジャズピアニストとして素晴らしい活躍をしていただろう。美香はお母さんになっていたかもしれない……。
「ミスター・クロス、大丈夫?」
アルバムを見つめていたら、叔母さんが優しく声をかけてくれた。
「やっぱりデヴィッドに会いたいんです。2人が二十代の若さで亡くなったのがあまりにも無念です。お願いします。教えて下さい」
叔母さんが困ったように微笑み、見ていたアルバムのページを捲った。
「この子がデヴィッドよ」
叔母さんが指した写真には金髪のいかつい男が写っていた。