大嫌いの先にあるもの
嬉しい……。
電話越しに言われた事はあったけど、面と向かって言われたのは初めて。
嬉し過ぎる。
だけど、なんて言ったらいいか、照れくさい。
「えーっと」
視線を下に向けると、黒須の首からつるした左腕が視界に入った。
「左腕、大丈夫?撃たれたの?」
「撃たれたのは左肩。もう大丈夫だよ。銃弾がちゃんと貫通していたし、急所は逸れていたそうだ」
「本当に大丈夫なの?」
「大した事はないらしいよ。後遺症も残らず、傷が塞がれば普通に暮らせるって言われた」
「良かった」
「日本に帰りたいよ。Blue&Devilにも行きたいし、大学にも行きたい」
「まだ帰れないの?」
「僕は容疑者の一人らしいからね」
「容疑者?」
「FBIはそう思っているようだったよ。この五年、愛理から僕の情報を得ていたそうだ」
「愛理さんから?」
「愛理はFBIの協力者らしい。僕に近づいたのはマイクロチップを手に入れる為だったんだよ」
「美香ちゃんがジャニスさんから預かったってやつ?」
「そうだよ。どうやら懐中時計の中に隠してあるようなんだ」
「懐中時計……」
「美香がそんな物を持っていたかどうか、正直覚えてないんだ。もう五年経っているしな」
立ち上がり、椅子の上に置いたリュックに手を突っ込むと、目当ての物はすぐに出て来た。
「懐中時計ってこれ?」
黒須に見せると、二重の目が驚いたように見開かれた。
電話越しに言われた事はあったけど、面と向かって言われたのは初めて。
嬉し過ぎる。
だけど、なんて言ったらいいか、照れくさい。
「えーっと」
視線を下に向けると、黒須の首からつるした左腕が視界に入った。
「左腕、大丈夫?撃たれたの?」
「撃たれたのは左肩。もう大丈夫だよ。銃弾がちゃんと貫通していたし、急所は逸れていたそうだ」
「本当に大丈夫なの?」
「大した事はないらしいよ。後遺症も残らず、傷が塞がれば普通に暮らせるって言われた」
「良かった」
「日本に帰りたいよ。Blue&Devilにも行きたいし、大学にも行きたい」
「まだ帰れないの?」
「僕は容疑者の一人らしいからね」
「容疑者?」
「FBIはそう思っているようだったよ。この五年、愛理から僕の情報を得ていたそうだ」
「愛理さんから?」
「愛理はFBIの協力者らしい。僕に近づいたのはマイクロチップを手に入れる為だったんだよ」
「美香ちゃんがジャニスさんから預かったってやつ?」
「そうだよ。どうやら懐中時計の中に隠してあるようなんだ」
「懐中時計……」
「美香がそんな物を持っていたかどうか、正直覚えてないんだ。もう五年経っているしな」
立ち上がり、椅子の上に置いたリュックに手を突っ込むと、目当ての物はすぐに出て来た。
「懐中時計ってこれ?」
黒須に見せると、二重の目が驚いたように見開かれた。