大嫌いの先にあるもの
続きを聞こうとしたら、お客さんからオーダーが入る。
宮本さんがお酒を調合して、鮮やかな手つきで銀色のシェーカーを振る。
よくテレビドラマとかで見るバーテンダーみたい。
宮本さんがカクテルを作ってる姿は物凄くカッコイイ。

「マティーニです」
「ジントニックです」
「スクリュードライバーです」

宮本さんは次々に注文をこなしていく。
その横でカクテルの材料のメモを取る。

アルバイト3日目の私が出せるのはビールぐらい。
さすがにカクテルはまだ作らせてもらえない。

バーテンダーも結構、知識のいる仕事だと感じる。
お任せでカクテルを作ってとか言われる事もあるので、そういう時はお客さんの期待を裏切らないカクテルを作らなければならない。
それにはどんなお酒があるのか知ってないと。

私も宮本さんみたいに素敵なカクテルを作れるようになりたいと思うけど、時間はかかりそう。

ステージの方で急に大きな拍手がわいた。

視線を向けると、歌手が代わり、この店の看板歌手、愛理さんが出て来た所だった。
さらにステージの上の知ってる人の姿に目を丸くする。

黒須がステージのピアノの前にいる……。
さっきまでは違う人が弾いてたのに。

どうして黒須が?
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