大嫌いの先にあるもの
あっという間に昼休み。

お腹が痛くなる。黒須に言われたペナルティが気になって、全然講義に集中できなかった。

研究室が入ってる7階建てのガラス張りのビル前で立ち止まる。
ビルのガラスには鏡のように夏の青空が映っている。

七月に入っていた。
来週から二週間の前期試験が始まり、もうすぐ夏休みだ。

夏休みになれば大学で黒須に会う事もない。
Blue&Devilでは会ってしまうけど。

黒須への思いを自覚して一週間。
大学でもバーでも何とか避け続けて来たのに、今日捕まってしまうなんて。

だいたいなんでペナルティなんて言われなきゃいけないのよ。
講義にはちゃんと出たし、そんなの言われる筋合いはない。

そうよ。別に従う事はないのよ。

回れ右をして、その場から離れる。
一歩、二歩、三歩進んだ所で、ポンポンと誰かに肩を叩かれた。

「どこに行くの?」

黒須が立ってた。
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