大嫌いの先にあるもの
コップを置いて、何となく黒須の方を見るとしっかりと目が合った。
「あの」
気まずくて声をかけた。
「あの、えーと、ここはよく来るんですか?」
「週三で通ってる」
「それって、大学がある時はここで食べてるって事ですか?」
「うん。大学内だと落ち着かなくてね」
黒須が気まずそうな笑みを浮かべた。
「ここは静かだし、一人になれるからいいんだよ」
意外だった。昼は大学の子たちと食べてるのかと思った。
「先生っていうのは疲れるね」
黒須が上着を脱ぎ、ベスト姿になる。
引き締まった体型がくっきりして、カッコイイ。
ベスト姿が結構、好き。
「ジャズクラブのオーナーの方が性に合ってる」
また目が合う。
今度は気まずくて視線を下げた。
テーブルの木目模様を見ながら胸がドキドキしてくる。
顔が熱くてまともに見られない。この場から逃げたい。
「まだ僕から逃げたい?」
「……はい」
黒須がクックックッと楽し気な笑い声をあげる。
「いいね。いつも春音はハッキリと僕を嫌ってくれる」
「嫌われて嬉しいんですか?」
テーブルに視線を向けたまま聞いた。
「正直でいいって意味だよ。僕は春音の事が好きだよ」
好きって言葉に胸が熱くなった。
特別な意味なんてきっとないのに動揺する。
「好きだなんて簡単に言わないで下さい」
「簡単に聞えた?」
黒須がクスリと笑う。
「蕎麦が好きとかって言うのと同じぐらいに聞えました」
「春音は面白い事を言うね。僕は思った事を言ってるだけだよ。妹として春音の事は大切に思ってるから」
妹……。
その言葉があまり嬉しくない。
なんで落ち込むんだろう。
「あの」
気まずくて声をかけた。
「あの、えーと、ここはよく来るんですか?」
「週三で通ってる」
「それって、大学がある時はここで食べてるって事ですか?」
「うん。大学内だと落ち着かなくてね」
黒須が気まずそうな笑みを浮かべた。
「ここは静かだし、一人になれるからいいんだよ」
意外だった。昼は大学の子たちと食べてるのかと思った。
「先生っていうのは疲れるね」
黒須が上着を脱ぎ、ベスト姿になる。
引き締まった体型がくっきりして、カッコイイ。
ベスト姿が結構、好き。
「ジャズクラブのオーナーの方が性に合ってる」
また目が合う。
今度は気まずくて視線を下げた。
テーブルの木目模様を見ながら胸がドキドキしてくる。
顔が熱くてまともに見られない。この場から逃げたい。
「まだ僕から逃げたい?」
「……はい」
黒須がクックックッと楽し気な笑い声をあげる。
「いいね。いつも春音はハッキリと僕を嫌ってくれる」
「嫌われて嬉しいんですか?」
テーブルに視線を向けたまま聞いた。
「正直でいいって意味だよ。僕は春音の事が好きだよ」
好きって言葉に胸が熱くなった。
特別な意味なんてきっとないのに動揺する。
「好きだなんて簡単に言わないで下さい」
「簡単に聞えた?」
黒須がクスリと笑う。
「蕎麦が好きとかって言うのと同じぐらいに聞えました」
「春音は面白い事を言うね。僕は思った事を言ってるだけだよ。妹として春音の事は大切に思ってるから」
妹……。
その言葉があまり嬉しくない。
なんで落ち込むんだろう。