だいすきボーイフレンド
「今週末、花火大会あるで」

8月に入り、夏休みも折り返し地点という頃、翔平が突然言った。

「ええな、楽しそうやん」

私は気負うことなくそう言うと、翔平がすごく嬉しそうに笑う。

「晴人にも声かけて3人で行こうや」

その言葉を聞いて、私は間違いなく、あ、2人やないんや、と落胆したことを覚えている。

その落胆を認めたら翔平のことを好きだと認めることになるから、その時はグサッと心に刺さった何かを無視して笑顔を作って答えた。

「めっちゃええやん、行こ」

私は翔平のことが好きだった。

明るくて、クラスのムードメーカーで、生徒会役員なのに全然そんな堅苦しくなくて、いつもニコニコ笑ってて。

高校入学した時から、その存在を知ってはいたけど、こうして仲良くなれるなんて思ってもいなかったし。

もし、翔平も私のことが好きだったらええなあ。

そう思っては、ほかの女子とも気軽に喋ってる翔平を見て、気持ちに封をしてた。

みんな翔平のことが好きだった。

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