だいすきボーイフレンド
私たちは気付けばラーメン屋に入っていた。
ガラガラな狭い店内の4人がけテーブル席。

「今日、晴人何してんの、呼ぼうやここ」
「晴人、起きるの遅いからまだうちで寝てんで」
「うちって」
「ん?」
「今サラッと『うちで寝てる』言ったやんな」

晴人は昨日うちに泊まっていって、まだ寝てる。ズルズルと半同棲みたいになりそうな気配がしていた。

「お泊まり?」

翔平がちょっと口元に笑みを浮かべながら言う。

「そんな、お泊まり言うか雑魚寝みたいなもんやから」
「なんかそんなぬるっと付き合ってる感出されたら俺照れるわ」
「そんなんちゃうよ」
「意外とちゃんとやることやってんねや」

ドロッとした豚骨のスープが喉に残る。

なんでこんな暑い日にラーメンなんて食べてるんだろう。

「晴人、涼香のこと好きやろ」

直球の投げ方をされて、少し戸惑う。

「なんかそうみたいやね」

スープの底の方に残る麺を掬う。

「女なんて愛された方が幸せやん」
「そうなんかな」

真正面の翔平と目が合う。

「私、普通にこういうデートがしたい」

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