だいすきボーイフレンド
陽の当たるところへ出たが、すぐそこにカフェがあったから急いで入る。

二人ともいつも安いアイスカフェオレを頼むのが定番だった。晴人はそこに追加でホットドッグを注文する。

店内は同じように涼む人ばかりで、私たちはやっと空いてた二人がけのテーブルを見つけ座った。

アイスカフェオレにガムシロップをとかす。

「もうさー、こうやってダラダラおじさんおばさんになるまで遊ぼうや」
「嫌や、結婚したいねんて」
「じゃあ35でお互い余ってたら結婚しよ」
「嫌や、20代で子ども産みたいねんて」
「昭和の人間やな価値観」

晴人が鼻で笑ってカフェオレをストローで吸い上げる。

「丸の内OLになって、かわいい友達の紹介で知り合うんや」
「そこまでせんでも」

晴人は背もたれにのけぞって、独り言のように呟く。

「独身楽しいやんけ」

その時の私には、それが呪いの呪文のように聞こえた。
私は結婚が一番幸せなものだと思ってた。

「就職最後まで決まらんかったら、大阪戻って公務員と結婚するわ」

そう言う私と晴人の目が合う。
< 38 / 59 >

この作品をシェア

pagetop