だいすきボーイフレンド

だいすきボーイフレンド

なんか大阪変わったな。

いつも帰ってくる度に、どんどんよそよそしくなっていく故郷に戸惑う。
すごいことなってるやん。
私の知ってる大阪やない。

お盆休みの真っ只中、18時から高校の時の友達と飲み会になってた。

約束の店に女4人集まると、会わなかった時間なんて関係なくあっという間にマシンガントークが始まる。

「あんときさ、てっしートイレ行ってる間に授業始まってさ」
「岡崎、『トイレ行ってる子を待ちましょう』言うてクラス全員てっしー待ちやったやつやろ」
「そう、クラス戻ったらみんなニヤニヤしてんやん、うち17歳の女の子やで」
「『トイレ』言わんくてもよくない」
「それな、あん時教室入って一番ドア近くが翔平やったやん」

突然の「翔平」というクラスで人気の男子の名前登場で場が盛り上がる中、私は心臓が脳に一気に血液を送ったのか、脳みそ破裂しかけた。

ここでその名前が出てくるとは思わなかった。

「翔平と晴人とたいちゃんあたりが陣取ってたとこな」
「いたいた、晴人とたいちゃんもいたな」
「うちそん時、翔平のこと好きやったやん」
「あれ?てっしー翔平のこと好きやった?」

どんどん弾みをつけてく話題に一人取り残される。

「めっちゃ好きやった、翔平最高やん」
「翔平はええな」
「爽やか。井口と仲良かったよな」

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