だいすきボーイフレンド

唐突にもほどがある

店を出ると、少し外の気温が下がってることに気付く。

「もうすっかり夜になったな」
「次は今くらいからに設定してくれよ」
「俺、早く酒飲みたいんや」

三人で駅に向かおうとしたけど、翔平が「あっ」とわざとらしい大声をあげる。

「俺、図書館に返す本あるんやった」

そう言いながらアワアワと大袈裟に慌て始める。

「すまん、図書館に行ってから帰るわ」
「図書館くらい俺も付き合うで」
「そういうのいらんから、ほら、涼香を家まで送り届けな」

翔平がおばちゃんみたいな口調でバタバタと言うもんだから、晴人は頭を掻きながら「じゃあ、そうするわ」と答えた。

そして自然と私の隣に来る。

家まで送ってもらうことは意外とよくあって、晴人も慣れてることは確かだ。

「じゃっ、じゃっ、じゃっ」とハツラツとした元気いっぱいなお別れで、翔平は人混みの中へと足早に消えていった。

「あいつ、元気ええな」

隣で晴人が呟く。

「よく通る声しとるわ」

私の言葉に、隣でうんうんと頷きながら、少し体で私を駅の方へと押してきた。

「家まで送ればいい?」
「別に送ってって頼んでないわ」
「はいはい」

晴人は面倒くさそうに私の半歩先を歩くから、少し早歩きで追いかける。

付き合うって本気なのかなあ。

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