天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「さて、次に行こう!」

蘭子に手を引かれて電車に乗り移動した。
ついた先はなんとAnge fleur Jusminの品川店だった。

「ここでさ、売り物にならなくなった花をドライフラワーにしてリサイクルしてるんだって。もともとが珍しい花も多いからここで始めたハーバリウムが大人気なのよ」

「へ、へぇ〜。そうなんだ。知らなかった」

Ange fleur Jusminの名前を聞いてドキッとした。昨日もらった名刺の名前だったからだ。

「もうっ! 茉莉花は疎いんだから。花屋さんが作るドライフラワーだからすごく花がいいの。これを部屋に飾ったら素敵じゃない?しかも今日はキャンペーンだから安いの。予約するのが大変だったんだからね!」

蘭子の力説に圧倒されてしまった。
店舗の前には他にも女子力の高そうな人たちが何人も見える。
その人たちからすると私はなんだか野暮ったいと感じてしまった。
今日は白いカットソーにシンプルな紺のパンツ、手にはレザーのミニトートバッグを持っている。そして私の唯一の貴金属である一粒パールのネックレスを今日もつけていた。母の形見であるこれは出かける時につけることにしているものだ。
私は仕事柄化粧も薄く、ネイルなどもしていないため周りと比べると華がないと思った。蘭子も幼稚園で働いているため化粧は薄く、ネイルもしていない。けれど元気いっぱいで弾けんばかりの笑顔が魅力を存分に引き立てていた。花柄のスカートに茶系のカットソーで今日はどちらかというと清楚風なのはここに来るためだったのか。

「予約した村木です」

蘭子が受付で名前を告げると席へ案内された。いつもなら華道やフラワーアレンジメント教室をしているようでいくつもテーブルが並んでいた。
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