天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「私はあなたに釣り合わない?」

「どういうこと?」

涙声になりながら私は啓介さんを見上げた。

「啓介さんほどの人が私を選んでくれるなんて不思議だったの。私が佐倉さんの子供かもしれないから付き合ってくれているの?」

ようやく小さな声で絞り出すように気持ちをぶつけた。
彼は驚いたのか私の頭を撫でる手が止まった。

「どういう意味?」

先ほどまでとは違う冷たい声に、私は驚いた。

「俺は茉莉花が好きなんだ。茉莉花を幸せにしたいって何度も伝えてきたけど信じてなかった?」

「そんなこと……」

「ならどうしてそんなこと言うんだ?」

抱きしめられた手は緩まないが、離されるのでないかと私の方が強くしがみがみついていた。

「だって……」

彼に見つめられると隠していられなくなる。
こんなことで彼との仲が壊れるなら、正直に話して彼から直接本心を聞きたい。
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