天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています

衝撃の事実

今日が休みの最終日。
明日からの仕事に備えて家の片付けをやってしまおう、と思ったがなんとなく手につかず思い立って久しぶりに母の遺品の整理をした。亡くなった直後は辛くて整理できなかった。その後も引っ越さなければならなくなり慌てて荷物をまとめた。母のものはその時に半分くらいは処理してきたが整理するのが悲しくてそれ以上手がつけられず、結局新居へ持ってきていた。
あれから2年が過ぎ、ようやく少し手を出そうと思えたこともあるが、佐倉さんとの出会いで少し母に触れたくなったのだと思う。

段ボール3つになった荷物をクローゼットから取り出してきた。

箱を開けるとどことなく懐かしい匂いがする。母の気に入っていた服やバッグ、写真が出てきた。その中に私があげた母の日や誕生日プレゼントが1つにまとまった箱があった。学校で描いた似顔絵などを母は宝物だと言って箱にまとめてくれていた。懐かしくて引っ張り出してくると小さな子供が書いた丸などから始まっていた。また、私が作った栞や小物まで出てきた。
ふと見ると母子手帳もここにしまわれていた。
母子手帳を開いてみるとやはり父親の欄に名前はなかった。
メモ欄に私が怪我したことや病気をしたことがひとつひとつ几帳面にメモされていた。それを見ていると一枚の写真が出てきた。
ふと手に取るとそれは母の若い頃の写真だった。仲が良さそうに写る隣の男性は佐倉さんの若い頃のように見えた。母の肩を抱き笑顔で写る二人の姿はとても幸せそう。どうしてこの写真がここにあったんだろう。写真を裏返し、そこに書かれた母の字を見て驚き声が出なかった。
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