天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「佐倉さん、これ」
バッグの中から手帳を取り出すと挟んであった写真を手渡した。
「佐倉さんですよね? この人は」
仏壇の前で項垂れていた彼は突然話しかけられ驚いていた。
「あ、あぁ。懐かしいな。社会人になってからのものだね。多分2人で旅行に行った時のものかな」
やはり。
私は裏返すと彼は目を見張っていた。
「あぁ……」
彼はそれを見るなり崩れ落ち、むせび泣くような声でなく男泣きを始めてしまった。
私が手にしていたタオルを渡すと顔を押さえ、声を押し殺そうとしているが止まらない。
私も涙が込み上げてきて嗚咽してしまう。
どれくらい時間が経っただろうか。
「茉莉花ちゃん、ありがとう」
泣き笑いの顔で私の目を見てまた言った。
「茉莉花ちゃん、生まれてきてくれてありがとう」
私はこれまで母に苦労をかけさせるだけの存在だった気がしていた。亡くなった祖母以外親戚とは疎遠で、美知おばちゃんだけが私を気にかけてくれる唯一の人。母は女手ひとりで私を育て上げてくれたが、そんな母は幸せな人生だったのかと聞かれるとわからない。私がいるから幸せ、と言ってくれたが本当だったのか不安だった。私が産まれてきたことをよく思わない人がたくさんいるのに、意地を張って産んだのではないかと今まで何度も考えてきた。
そんな私が1番欲しかった言葉を佐倉さんがくれた。
『産まれてきてくれてありがとう』
全身の力が抜けた落ちしゃがみ込んだ私に佐倉さんはそっと頭に手を伸ばし、何度も何度も撫でてくれた。
バッグの中から手帳を取り出すと挟んであった写真を手渡した。
「佐倉さんですよね? この人は」
仏壇の前で項垂れていた彼は突然話しかけられ驚いていた。
「あ、あぁ。懐かしいな。社会人になってからのものだね。多分2人で旅行に行った時のものかな」
やはり。
私は裏返すと彼は目を見張っていた。
「あぁ……」
彼はそれを見るなり崩れ落ち、むせび泣くような声でなく男泣きを始めてしまった。
私が手にしていたタオルを渡すと顔を押さえ、声を押し殺そうとしているが止まらない。
私も涙が込み上げてきて嗚咽してしまう。
どれくらい時間が経っただろうか。
「茉莉花ちゃん、ありがとう」
泣き笑いの顔で私の目を見てまた言った。
「茉莉花ちゃん、生まれてきてくれてありがとう」
私はこれまで母に苦労をかけさせるだけの存在だった気がしていた。亡くなった祖母以外親戚とは疎遠で、美知おばちゃんだけが私を気にかけてくれる唯一の人。母は女手ひとりで私を育て上げてくれたが、そんな母は幸せな人生だったのかと聞かれるとわからない。私がいるから幸せ、と言ってくれたが本当だったのか不安だった。私が産まれてきたことをよく思わない人がたくさんいるのに、意地を張って産んだのではないかと今まで何度も考えてきた。
そんな私が1番欲しかった言葉を佐倉さんがくれた。
『産まれてきてくれてありがとう』
全身の力が抜けた落ちしゃがみ込んだ私に佐倉さんはそっと頭に手を伸ばし、何度も何度も撫でてくれた。