天涯孤独となったはずなのに幸せに溢れています
「誰にでもするわけじゃないよ。俺だってこんなに意味を考え、ちゃんとしたプレゼントをするのは初めてだからな」

え?
その言葉に胸が弾んだ。
啓介さんならサラッとこうしてプレゼントできると思っていたのに、まるで私の心を読むようにそんなことを言われるとドキドキが止まらない。

「よく似合ってるよ」

顔が火照ってくる。小さな声でやっとなんとか言えた言葉はお礼だけだった。

「これからは躊躇うことなく連絡もできるし、会うことができるんだと思うと楽しみだ。もちろん茉莉花の気持ちも尊重する。けど俺は茉莉花を幸せにしてあげたい」

そんなこと言われて、もうどうしようもないくらいにドキドキしている。心臓が壊れちゃいそう。
こんな時に返す言葉も分からず固まっていると啓介さんは笑いながら耳元でまた囁いた。

「これからゆっくり俺たちのペースで付き合っていこう。緊張してたんじゃ楽しくないだろう。ふたりで楽しいことをいっぱいしていこう。辛いことはふたりで半分にしよう」

「はい」

これからの一緒の時間を考えるだけで既に幸せな気持ちになった。
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