【完結】エレベーターに閉じ込められたら、恋に落ちました。


 橋本さんは、私の頬をゆっくりと撫でる。

「……橋本、さん?」

 え、なんで……そんなに見つめるの?

「時枝……」

 頬を撫でられただけで、耳や顔が赤くなるのが自分でも分かる。 さっきの、お姫様だっこの時みたいに、きっと今耳が赤い。
 それに、ものすごくドキドキする。 なんだろう、この胸のドキドキは……。

「あの、橋本さん……」

 どうしよう、私……すごくドキドキしてる。
 まだ多少、暗闇っていうのが、ありがたいくらいに。

「……だからお前は、放っておけないんだよな」

「え……?」 

 今の……どういう意味? 今のセリフ、どういう意味……?
 待って、全然分からない。 どういう意味で言われたの?
 
「お前のこと見てると、なんか気になるっていうか……。放っておけないんだよな、なんか」

 暗闇の中での橋本さんの表情なんて、あまり分からない。……でも、その言葉が嬉しいものだってことは、私にもよく分かる。

「……それは、私がおっちょこちょい、だからですか?」

「最初はそうだと思った。……でも、違う。そうじゃない」

 そうじゃない……って何? 

「……お前のことが頭から離れないんだ、最近」
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