【完結】エレベーターに閉じ込められたら、恋に落ちました。
だって……こうなったのも、私たちもしかしたら、運命かもしれないし。
「じゃあ、結婚するか」
「……はい」
こんな暗闇の空間の中で、私たちはそっと唇を重ね合う。
「……あまい、ですね」
「確かにあまいな」
これはきっと、私たちのキャンディの味だ。
そしてーーー。
「すみません、中にいらっしゃいますか!?」
と、エレベーターの外側から声がした。
「あ、来ましたか?」
「ようやく来たな、遅い」
「遅いですよ、本当に……」
エレベーターが停止して閉じ込められてから、一時間ほどして、エレベーターの扉がついに開いたのだった。
「ご無事ですか!? ケガはありませんか!?」
「大丈夫です!二人とも無事です!」
「良かった!すぐ開けますので、待っててください!」
良かった……。ようやくここから、出られるんだ……。
一時間、長かった。一時間だったといえども、長かった。
「さあ、扉開きますよ!!」
「は、はい!」
ようやく、ここから出られるんだ……。でもちょっと、残念な気もする。
「あ……良かった」
そして瞬く間に、エレベーターの扉は開いた。