【完結】エレベーターに閉じ込められたら、恋に落ちました。


 だって……こうなったのも、私たちもしかしたら、運命かもしれないし。

「じゃあ、結婚するか」

「……はい」

 こんな暗闇の空間の中で、私たちはそっと唇を重ね合う。

「……あまい、ですね」

「確かにあまいな」

 これはきっと、私たちのキャンディの味だ。

 

 そしてーーー。

「すみません、中にいらっしゃいますか!?」

 と、エレベーターの外側から声がした。

「あ、来ましたか?」

「ようやく来たな、遅い」

「遅いですよ、本当に……」

 エレベーターが停止して閉じ込められてから、一時間ほどして、エレベーターの扉がついに開いたのだった。

「ご無事ですか!? ケガはありませんか!?」

「大丈夫です!二人とも無事です!」

「良かった!すぐ開けますので、待っててください!」

 良かった……。ようやくここから、出られるんだ……。
 一時間、長かった。一時間だったといえども、長かった。

「さあ、扉開きますよ!!」

「は、はい!」

 ようやく、ここから出られるんだ……。でもちょっと、残念な気もする。

「あ……良かった」

 そして瞬く間に、エレベーターの扉は開いた。
< 20 / 26 >

この作品をシェア

pagetop