【完結】エレベーターに閉じ込められたら、恋に落ちました。
「遠回しに言うのは嫌いだから、ストレートに言う。……僕と結婚しないか」
「……結婚、ですか?」
なぜ、僕はいきなりプロポーズなんてしまったのだろうか。付き合おうの前に、結婚しようと言ってしまった。
「結、婚?!」
それは驚くに決まっているはずだ。いきなり結婚なのだから。
段階を踏まずに、いきなりプロポーズした自分を恥じる。
「そこは普通……付き合う、とかじゃないんですか?」
順番が違うような気もするが、言ってしまったものは仕方がない。
「普通はそうだろうな」
「ですよね」
僕もずいぶん、思い切ったことをしてしまったものだな。
いきなりプロポーズだなんて、自分らしくないと思う。
「でも、どうせ付き合うなら結婚したいと思ったから、だからプロポーズした」
「そ、そんなの、急すぎますって……」
そりゃそうか。と思いながらも、自分は恥ずかしいことをよく言えたものだとよくよく感心してしまう。
「……イヤ、だったのか?」
「いえ。……その、嬉しかったです」
「なんだ。嬉しかったのか」
と言いつつ、僕が一番嬉しかったことは時枝さんには秘密にしておこう。
僕も恥ずかしいからね。