年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 次の日の日曜日。暑いくらいのいいお天気のなか、申し訳ないくらい顔のいい人達が集まって引っ越しは始まった。

 武琉君が(しゅ)になって運び出しをして、希海さんはそれを台車で運び、受け取った睦月さんがトラックに積み込んでいる。そして、私と香緒ちゃんは部屋の掃除に勤しんだ。
 処分しようと思っていた冷蔵庫は最初に運び出していて、引っ越しが終わったら香緒ちゃんが引き取ってくれることになっている。なんでも武琉君が来てから、いつも食べる物で冷蔵庫がいっぱいで、飲み物があまり入らなくなったらしい。
 洗濯機はこっちで処分することにして、そうたくさんはない家具や家電と段ボールを積むと、睦月さんが借りてきたトラックはちょうどいっぱいになった。

「なんか……。あっという間」

 元々ほぼ箱に入れていたのもあって、1時間も経たないうちに部屋は空っぽになった。

「ほんと。3人とも力あるよね。僕なんて、掃除機かけるくらいしかしてないよ」

 さっき最後の荷物を希海さんと武琉君が運んでいったから、部屋には香緒ちゃんと二人きりだ。

「武琉君は見た目通り力ありそうだけど、希海さんも意外と力持ちでびっくりしちゃった」
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