年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月まで
 本人には言えない感想をこっそり香緒ちゃんに言うと、香緒ちゃんは笑ってそれに答える。

「カメラマンってさ、立ちっぱなしだし動き回るから結構体力使うんだって。いつも動くの面倒くさそうな顔してるわりに、意外と鍛えてたりするんだよね、希海」
「確かに。睦月さんも体力あるもんなぁ」

 私がそれをなんの気無しに口に出すと、香緒ちゃんは黙ったままジーッとこちらを見ていた。

「それ。あんまり他の人に言わないほうがいいと思うよ?」

 香緒ちゃんは、真面目な顔で私を見下ろしてそう言う。

「……? なんで?」

 不思議に思いながら香緒ちゃんを見上げると、ちょっと顔を赤らめて香緒ちゃんは視線を外した。

「さっちゃん……。体力あるって思ったの、どんな時?」

 そう言われて、私の顔は香緒ちゃんとは比にならないくらい赤くなったと思う。たぶん、今私が思い浮かべてたことを香緒ちゃんも考えてるだろうから。

「睦月君。まさか、さっちゃんのその髪の長さで結ぶと思ってなかったんだろうね……。その、首筋についてるよ……」

 言い辛そうにした香緒ちゃんに、何が? と尋ねそうになってハッとする。
 そして昨日の夜、睦月さんが私の首筋に何をしたか思い出して、顔が余計熱くなった。
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