【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
いち
わたしの好きな人
――わたしには、好きな人がいる。
それは、保健室の先生。
「ケホッケホッ……せんせぇ、ごめんなさい。またベッドを使わせてもらってもいいですか?」
体育の授業を抜け出して保健室に来ると、せんせぇはいつも通り振り返って、呆れた顔をする。
「まーたお前か。勝手にしろ。ったく、1週間に3回はここに来やがって。自分の体の状態はちゃんと把握しろって言ってんだろ」
「うぅ、ごめんなさい……今日は大丈夫だと思ったんです……」
言葉遣いも態度も荒っぽいけど……せんせぇの“呆れ”は、わたしが虚弱体質だからじゃない。
「お前の大丈夫は大丈夫じゃないんだよ。頑張り過ぎなんて言ったら聞こえはいいがなぁ、毎度酷使するんじゃただの無謀だ、無謀」
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