【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
せんせぇに知られちゃったら、もう保健室に来れない……!
そう思って必死に止めたのに、せんせぇは――……。
「……あぁ?」
「ひっ……」
不機嫌そうな低い声と、細められた眼力のある目。
思わずビクッとすると、せんせぇはハッとしたようにイスを回転させて、わたしに背中を向ける。
「……チッ、そんだけ大きい声出せる元気があるなら、もういいだろ。歩いてるうちに休み時間になるだろうから、好きなとこ行け」
「っ……は、い……」
せんせぇの、あんなに怖い顔なんて久しぶりに見て……わたしは言われるがままに、保健室を出た。
強く否定したことで、やっぱり怒らせてしまったのか……。
その日から、せんせぇはわたしと必要最低限のお話しか、してくれなくなった。