【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
「怖がってるくせに、なんで泣くんだよ……お前、本当は俺のこと好きなのか?」
呆れ混じりの声と、こめかみに伝った涙を拭う指。
前みたいに、せんせぇが優しくしてくれてると思うと……どうしようもないくらい嬉しくて、好きが溢れる。
「好き、です……わたし、せんせぇが、好き……!」
「――っ!」
せんせぇの息を飲む声が聞こえて、温かい指が少し離れた。
心臓がキュッとするけど……口にした言葉に、後悔はない。
だって、わたしは……。
ちょっぴり怖くて、でも優しいせんせぇが、好きだから。