【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
「……お前、キスの感触も知らねぇのな。もっかいしてやるから当ててみろ。ほら、ヒント付きだ」
「もっ……!? ま、まって、待って、せんせぇ……っ!」
せんせぇはわたしの唇を指でなぞると、顔を近づけて目を伏せる。
突然のことでパニックになったわたしは、あわあわと赤面し、きつく目を瞑った。
今度は、チュッというリップ音付きで、唇についさっきと似たような感触が訪れる。
「ほら、どうだ? 答えは分かったか?」
「〜〜っ……わ、分からないですっ……!」
「あぁん? じゃあもう1回だ。分かるまで続けてやる」
「へっ!? や、やだ、せんせぇっ、だめ、もうだめですっ!」
だってわたし、せんせぇが好きって言ったばっかりなのにっ。
なんでこんなことになってるの?
こんな、せんせぇにキスされてるみたいな、心臓がおかしくなっちゃいそうなことっ!