【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ


「すぅ……はぁ……」




せんせぇの声に合わせてゆっくりと深い呼吸を続けると、バクバクしていた心臓が落ち着いてくる。

せんせぇの温かい手も、落ち着いた声も、なんだか眠気を誘って、わたしは段々と眠りに落ちていった。




チュッ


「――おやすみ」




その日から、わたしにはちょっぴり怖くて、意地悪で、だけど優しい……“恋人”ができた。


せんせぇはちょっぴり猫を被っていたみたいで、前より言葉遣いも態度も荒くなったけど、たまの優しさは変わらない……。

ううん、もっと遠慮なくわたしに構って、優しくしてくれるようになったくらい。



1ヶ月後に、せんせぇは本当に学校からいなくなってしまったけど……学校の外でいっぱい会えるようになったから、もう寂しくないんだ。


――大好きなせんせぇと、これからも一緒にいたいな。



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