【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
ぜろ
気弱な新入生
Side:虎谷
「――じゃ、失礼しましたー」
「おう、もう無茶すんなよ」
体育の授業中に擦り傷を作ってきた生徒を送り出して、使用した備品の記録を書く。
養護教諭の資格を取って働き出してから1年、多少不慣れなことはあるが、そこそこいい調子で仕事ができている。
コンコン
「あの、失礼します……」
「……!」
この声は、と思いながら振り返ると、保健室の入口にはやはり、あの問題児がいた。
今年入った新入生のウサギこと、兎澤。
俺がこいつの名前をよく覚えてるのは、苗字に動物の名前が入っていて、それがあだ名になっているという共通点から……ではなく。
「ごめんなさい……ちょっと頭がぼーっとして……ベッドを使わせてもらっても、いいですか……?」
「――じゃ、失礼しましたー」
「おう、もう無茶すんなよ」
体育の授業中に擦り傷を作ってきた生徒を送り出して、使用した備品の記録を書く。
養護教諭の資格を取って働き出してから1年、多少不慣れなことはあるが、そこそこいい調子で仕事ができている。
コンコン
「あの、失礼します……」
「……!」
この声は、と思いながら振り返ると、保健室の入口にはやはり、あの問題児がいた。
今年入った新入生のウサギこと、兎澤。
俺がこいつの名前をよく覚えてるのは、苗字に動物の名前が入っていて、それがあだ名になっているという共通点から……ではなく。
「ごめんなさい……ちょっと頭がぼーっとして……ベッドを使わせてもらっても、いいですか……?」