【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
せんせぇ、好き。
「……ぐすっ」
「……はぁ。泣くなよ、布団が濡れるだろ」
カチャッ
掛け布団を顔の上まで引っ張り上げて泣くと、せんせぇは溜息を吐いた。
イスから立ち上がる音がして、少し擦れたような足音がベッドに近づいてくるのを聞くと、わたしは縮こまる。
ギシッ
「学生の時は分からないもんだけどな……人は沢山いて、驚くくらい多種多様だ。無理しなくても、お前を受け入れてくれるやつはいる」
ベッドが少し沈んで、掛け布団からはみ出した頭が、大きな手にゆっくりと撫でられる。
せんせぇはよく怒るけど……わたしが泣くと、いつも優しくしてくれる。
頭を撫でてくれる手が温かいから、わたしはもっともっと、せんせぇのことが好きになっちゃうんだ。