【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
「せん、せぇは……? わたしが、めんどくさくても……」
「俺の意見なんか聞いてどうすんだよ。……“先生”は、生徒に好き嫌いしないもんだろ」
「っ……」
せんせぇは、わたしが“生徒”だから、めんどくさがらずに相手してくれるのかな……。
“生徒”じゃなかったら、せんせぇも、みんなみたいに……?
「……せんせぇは、わたしが生徒じゃなかったら……お世話、してくれませんでしたか……?」
「……赤の他人の面倒を見るかは別として。もし違う形で出会ってたとしても……俺の、お前への態度は変わらないだろうな」
「……!」
胸に甘い痺れが広がる。
せんせぇは、“せんせぇ”だから、わたしに優しくしてくれるんだ。
……嬉しいな。
わたし、やっぱり……せんせぇが好き。