【短】虚弱なウサギと乱暴なトラ
さん
何年生でもないもん
体温を測り終えて、仮眠を取ったわたしの目が覚めたのは、授業が終わるちょうど5分前だった。
いつもより眠りが浅かったのか、体に少し怠さが残っていたから、わたしは授業が終わるまで保健室にいることになって。
「ウサギ。お前、頑なに好きなやつのこと言わないけど、学内にはいるんだろ? 何年かぐらいは教えろよ」
「……内緒です」
眠れないわたしのお話し相手になってくれていたせんせぇに、好きな人がいることがバレてしまったのは、いつのことだったか。
本人への恋愛相談は、いつの間にかお決まりになってしまった。
「気弱なくせに、そこだけはホント頑固だな……。分かった、じゃあ当ててやる」
「えっ」
今できる仕事が片付いて暇になったらしいせんせぇは、イスの背もたれに背中を預けて恐ろしい推理を始めた。