Hold Me Tight
店内には数人の客がおり、女性ばかりだった。たしかに、ここに置いてある雑貨は女性受けしそうな気がする。
私は店内をゆっくりぐるっと1周回って、和ガラスの食器が陳列されているコーナーにたどり着いた。そう言えば、引っ越しの荷解きのときにコップを割ってしまったのだった。和ガラスのコップ、少々値段は張るがいいかもしれない。和ガラスにもいろんな種類があるらしく、色も形も様々で見ているだけで楽しい。その中でも目を引いたのは、連鎖装飾紋が美しく施された蛍光緑色のタンブラーグラスだった。なんだろうこれは、と手にとってしばらく眺めていると、後ろから声をかけられた。
「お嬢さん、お目が高いねぇ」
「え、あ…」
振り向くと、後ろ手を組んでニコニコと微笑む店主の姿があった。完全に自分の世界に入っていたので、咄嗟に言葉が出なかった。「お嬢さん」なんて呼ばれ方はされたことがないので、なんだかこそばゆい。お嬢さんと言われるような歳でもない気がするが。
「それ、きれいでしょう?」
「はい。これ、独特な色合いですね」
「これねぇ、ウランガラスって言って、微量のウランで着色してるんだよ。このままでも十分きれいだけど、暗闇の中でブラックライトを照らすともっときれいなんだよ」
「へぇ、すごいですね」
「ちょっとやってみようか?」
店主はレジ裏の棚からライトを取り出し、店の電気の一部を消した。
「お店暗くしちゃって大丈夫なんですか?」
「うん、もうお客さん君だけだから」
「え」
和ガラスを夢中になって見ていたので気がつかなかったが、既に閉店時間は過ぎていたらしい。若い店員もいない。
私は店内をゆっくりぐるっと1周回って、和ガラスの食器が陳列されているコーナーにたどり着いた。そう言えば、引っ越しの荷解きのときにコップを割ってしまったのだった。和ガラスのコップ、少々値段は張るがいいかもしれない。和ガラスにもいろんな種類があるらしく、色も形も様々で見ているだけで楽しい。その中でも目を引いたのは、連鎖装飾紋が美しく施された蛍光緑色のタンブラーグラスだった。なんだろうこれは、と手にとってしばらく眺めていると、後ろから声をかけられた。
「お嬢さん、お目が高いねぇ」
「え、あ…」
振り向くと、後ろ手を組んでニコニコと微笑む店主の姿があった。完全に自分の世界に入っていたので、咄嗟に言葉が出なかった。「お嬢さん」なんて呼ばれ方はされたことがないので、なんだかこそばゆい。お嬢さんと言われるような歳でもない気がするが。
「それ、きれいでしょう?」
「はい。これ、独特な色合いですね」
「これねぇ、ウランガラスって言って、微量のウランで着色してるんだよ。このままでも十分きれいだけど、暗闇の中でブラックライトを照らすともっときれいなんだよ」
「へぇ、すごいですね」
「ちょっとやってみようか?」
店主はレジ裏の棚からライトを取り出し、店の電気の一部を消した。
「お店暗くしちゃって大丈夫なんですか?」
「うん、もうお客さん君だけだから」
「え」
和ガラスを夢中になって見ていたので気がつかなかったが、既に閉店時間は過ぎていたらしい。若い店員もいない。