親友を泣かした私は。

ほどかれたリボン

私はなんて最低なんだろう。黒板に書いたのはレオくんじゃなかった。なのに、なのに、私は。レオくんだと勘違いしてずっとレオくんから逃げてきた。

「レオくぅん…ごめぇん、ごめぇん、今まで本当にごめぇん。」

今日はずっと泣いてばかりだ。ずっと謝り続ける私にレオくんは

「お前は本当に馬鹿だな。」
と優しい笑顔で答えてくれた。レオくんは聞いた。

「お前は今幸せ?人生楽しい?」
彼はずっと小学生の時から心配してくれていたのだ。

「楽しいよぉ…。桜ちゃんもあおいちゃんも他の人も私に凄い優しくしてくれるのぉ。いじめられた時に毎回死にたいってよく思ったの。でも死んだら今の楽しみ全部味わえないんだよねぇ。生きてて良かったぁ。生きてて良かったよぉ。」

子供みたいに泣きわめく私の話をずっと真剣に聞いてくれたレオくん。レオくんに言いたい。

「今までありがとぉう」

泣きながら言う私に笑顔で

「俺の方こそ色々ありがとう。俺は、お前の笑顔が好きなんだ。一生俺がお前の笑顔を守り続けるよ」

とレオくんは言った。彼の顔はとっても真っ赤だった。

「なんで私の笑顔が好きなの?桜ちゃんとかあおいちゃんみたいに私可愛いくないよ?」

とたずねると

「好きな女の笑顔が好きじゃない男はいないよ」

とレオくんが言った。え、好きな女…。
私もレオくんも顔を真っ赤にしてみんなの所に戻って行った。




みんなとは小町通りにある海鮮丼屋さんで待ち合わせをした。桜ちゃんは私の姿を見ると思いっきり走ってこっちに向かってきた。

「レオくんじゃなかった。ずっと私誤解してた。」

とっても悲しそうに桜ちゃんは言った。

「桜ちゃん。もう大丈夫。レオくんとは仲直りできたの。だから大丈夫。ありがとう。今は鎌倉を楽しもう!」
と笑顔で桜ちゃんに抱きついた。

あおいちゃんと青木くんともう1人同じ班の明智くんは私と桜ちゃんとレオくんの関係を深く聞いてこようとしなかった。別に話したくないわけではないけど、過去の記憶はなるべく思い出したくないから聞いてこなくてほっとした。

みんなご飯を食べ終えて次はお土産屋さんに言った。6人でお揃いのストラップを買った。たぶん私の宝物になるだろう。


お土産を買ったあと、トイレ休憩を挟んだ。明智くんと私は行かずにみんなを待っていた。明智くんとはあまり話したことがなかったけれど勇気を振り絞って声をかけた。

「今日は色々迷惑かけてごめんね」

「大丈夫だよ。それよりレオと仲直りできたの?」

「うん。私が色々誤解してたんだよね。本当に申し訳ないな。」

「そっか。でもレオは白雪さんと仲直りできて嬉しかったと思うよ」

「え、そうかな?」

「うん。だって鎌倉の班、白雪さんたちの班と一緒がいいって言ったのレオだもん。」

「そうだったんだ」

レオくんはずっと謝ろうとしてくれたんだ。
そんなことを考えていると4人が出てきた。


楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰りの時刻になった。駅で男子と別れて私と桜ちゃんとあおいちゃんは一緒に家に帰った。
3人で楽しくおしゃべりをして。
あおいちゃんが恥ずかしそうに私たちに向かって言った。

「あのね。今日の鎌倉で実は好きな人が出来たんだ。」

私たちは2人で声を合わせて言った。

「相手は誰なの!?」

あおいちゃんは照れながら言う。

「明智くん」

明智くんか。たしかに。2人ともいい感じだったな。

「明智くんも読書が好きだったらしくてね、今度おすすめの本を紹介してもらう約束しちゃった」

照れながら言っているあおいちゃんは恋する乙女の顔だった。すると隣で桜ちゃんが

「良かった…」

とつぶやいていた。

「実はね、私も気になる人できて。青木くんなんだけど。あおいちゃんと好きな人被ってなくて良かった…」

と言っていた。

「みんな青春してますな~」

とにこにこしながら言うと2人に

「美波ちゃんが一番青春してたでしょうが!」

とふたりに突っ込まれた。私が青春?

「美波ちゃんとレオくん、仲良くなってたもんね」

「周りからみたらカップルみたいだよ」

と2人が言ってきたのだ。

「そんなことないもん!」
とふたりに言う。
だってレオくんは今まで怖い存在で、今日誤解が解けて仲良くなっただけだもん。恋愛の仲良くじゃないもん、とひとりで考えているとレオくんのあの言葉が頭に浮かんだ。

「好きな女の笑顔が好きじゃない男なんていないよ」
顔が熱いのは今日が楽しすぎたせいだろう。



この楽しい時間がずっと、ずっと続けばいいのに。夕日でオレンジ色に染まった空を眺めながら私たち3人は今日の思い出話をしながら笑いあった。
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