親友を泣かした私は。
ひび割れた私たち。
桜ちゃんの様子がどんどんおかしくなっていった。
前はあんなに明るかった桜ちゃんが今は無理をして笑顔を作っているようなそんな感じだった。
――放課後
桜ちゃんに呼び出された。
「実は伝えたいことがあって…。」
心臓がドクドクいってる。きっと桜ちゃんが元気のない理由のひとつだ。
「剣道部、退部するの」
え…。予想外の言葉だった。
「あんなに剣道好きだったのに?」
私はたずねた。衝撃的すぎて言葉が出なかった。
「うん。家庭の事情でね。」
また無理してる笑顔だ。
私はなんて言えばいいんだろう。桜ちゃんにとってどんな言葉が今救えるのかな。
私は口を開いた。
「そっか。けど剣道をやめてもまた楽しいことがあると思うよ。」
私は失敗した。桜ちゃんは怒った顔で言った。
「なにそれ。美波ちゃんはいいよね。ずるいよね。お父さんとお母さんと仲良く暮らせて。部活もやろうと思えばできるのにやらない。放課後も自由に遊べて。なんで私だけ辛い思いしなきゃいけないの!」
桜ちゃんは怒ったような悲しそうな顔を私に向けて教室から出ていった。
なんで――。なんで大切な人をいつも傷つけちゃうんだろう。
泣くな。泣くな。泣いたって解決しない。
そうやって教室に長い時間立ち尽くしていると、教室の扉がガラッと開いた。誰か入ってきたみたい。
「どうしよぉう。レオくん。桜ちゃんに…。酷いことをぉ。どうしよぉう。」
私は最低だ。
自分の大切な大切な親友の美波ちゃんを傷つけた。
普段のストレスを美波ちゃんにぶつけてしまった。
苦しい。辛い。
もう――――。
何もかも終わりにしよう。
大切な親友を傷つけた。
大好きだったお母さんにも愛されない。
剣道もできない。
勉強も疲れた。
将来の夢も否定される。
生きる意味って何だろう。幸せってなんだろう。
きっと私は他の人と比べたらとっても幸せだと思う。病気で長く生きられない人、学校でいじめにあっている人、お金に余裕のない人。この世界にいる『辛い人』に比べたら幸せ。
けどね――――。私は耐えられないの。
しっかり呼吸もできる。心臓も動いてる。
それでも辛いの。
だから…
私は階段をのぼった。あとちょっと。あとちょっとで。
楽になれる。
教室に入ってきたレオくんに泣きながら今までのことを全部説明した。
レオくんが言う。
「音瀬さんならきっと美波のこと嫌いになんてならないよ。だから謝ってきな。」
優しい声。私は何してるんだろう。速く謝りに行かなきゃ。
「ありがとう」とだけ伝えるとレオくんはニコリと笑った。
そんな時教室のドアがガラッとまた開いた。桜ちゃんかもと期待してみると。
「青木くん?」
青木くんは青白い顔でこちらを見て言った。
「大変なんだ。音瀬さんが。俺が…、廊下歩いてる時に音瀬さんが普段と違う雰囲気で階段をのぼっていったんだ。速くしないとやばいかも。速く。屋上に行ったのかも。」
私もレオくんも青木くんも、がむしゃらに走った。
転びそうになるくらい走った。
お願い――――。桜ちゃん…お願い――――。
前はあんなに明るかった桜ちゃんが今は無理をして笑顔を作っているようなそんな感じだった。
――放課後
桜ちゃんに呼び出された。
「実は伝えたいことがあって…。」
心臓がドクドクいってる。きっと桜ちゃんが元気のない理由のひとつだ。
「剣道部、退部するの」
え…。予想外の言葉だった。
「あんなに剣道好きだったのに?」
私はたずねた。衝撃的すぎて言葉が出なかった。
「うん。家庭の事情でね。」
また無理してる笑顔だ。
私はなんて言えばいいんだろう。桜ちゃんにとってどんな言葉が今救えるのかな。
私は口を開いた。
「そっか。けど剣道をやめてもまた楽しいことがあると思うよ。」
私は失敗した。桜ちゃんは怒った顔で言った。
「なにそれ。美波ちゃんはいいよね。ずるいよね。お父さんとお母さんと仲良く暮らせて。部活もやろうと思えばできるのにやらない。放課後も自由に遊べて。なんで私だけ辛い思いしなきゃいけないの!」
桜ちゃんは怒ったような悲しそうな顔を私に向けて教室から出ていった。
なんで――。なんで大切な人をいつも傷つけちゃうんだろう。
泣くな。泣くな。泣いたって解決しない。
そうやって教室に長い時間立ち尽くしていると、教室の扉がガラッと開いた。誰か入ってきたみたい。
「どうしよぉう。レオくん。桜ちゃんに…。酷いことをぉ。どうしよぉう。」
私は最低だ。
自分の大切な大切な親友の美波ちゃんを傷つけた。
普段のストレスを美波ちゃんにぶつけてしまった。
苦しい。辛い。
もう――――。
何もかも終わりにしよう。
大切な親友を傷つけた。
大好きだったお母さんにも愛されない。
剣道もできない。
勉強も疲れた。
将来の夢も否定される。
生きる意味って何だろう。幸せってなんだろう。
きっと私は他の人と比べたらとっても幸せだと思う。病気で長く生きられない人、学校でいじめにあっている人、お金に余裕のない人。この世界にいる『辛い人』に比べたら幸せ。
けどね――――。私は耐えられないの。
しっかり呼吸もできる。心臓も動いてる。
それでも辛いの。
だから…
私は階段をのぼった。あとちょっと。あとちょっとで。
楽になれる。
教室に入ってきたレオくんに泣きながら今までのことを全部説明した。
レオくんが言う。
「音瀬さんならきっと美波のこと嫌いになんてならないよ。だから謝ってきな。」
優しい声。私は何してるんだろう。速く謝りに行かなきゃ。
「ありがとう」とだけ伝えるとレオくんはニコリと笑った。
そんな時教室のドアがガラッとまた開いた。桜ちゃんかもと期待してみると。
「青木くん?」
青木くんは青白い顔でこちらを見て言った。
「大変なんだ。音瀬さんが。俺が…、廊下歩いてる時に音瀬さんが普段と違う雰囲気で階段をのぼっていったんだ。速くしないとやばいかも。速く。屋上に行ったのかも。」
私もレオくんも青木くんも、がむしゃらに走った。
転びそうになるくらい走った。
お願い――――。桜ちゃん…お願い――――。