Death Contract‐死神の契約‐
「…無駄だ。止めておけ」

「やってみないと分からないよ」


ジャックは不気味に微笑んだ。


「……何を企んでいる」

「何も企んじゃあいないよ。『可能性』を信じてみたくなっただけさ」

「…好きにしろ」

「言ったね?」

「ああ」


ジャックは不気味な笑みを崩さずに呟いた。


「…Number eight」



「ice」

「あ゙っ……!」





「僕をなめるからだよ、『ピノ様』…」


ジャックは左胸に氷の刃が突き刺さっているピノの腹を探り、『何か』を取り出すと、愉しげに鼻唄を歌いながら、自分の檻を後にした。

小窓から差し込む月明かりが、ピノの心臓を貫いた氷の刃を美しく輝かせていた。
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