Death Contract‐死神の契約‐
「なっ、なっ……!!」

「可愛い…。じゃな。もう暗いし遅いから、寄り道すんなよ」


春稀はそう言うと、踵を返し、歩き始めた。


「あ、そうだ」


春稀はまた由佳の方に向き直った。


「由佳の母さんに、今日のロールキャベツ、いつもより美味しかったって言っといて」

「あっ!あれね、あたしが作ったんだよ」

「……間違えた。もっと由佳に料理を教えてやってって言っといて」

「何でよっ!」

「嘘、嘘。本当に美味しかった。じゃな」

由佳が何か言おうとしたが、春稀は気にせず、歩き出した。



満月が、二人を妖しく照らしていた。
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