Death Contract‐死神の契約‐
由佳の父は、大手菓子メーカーの社長。
試作品を作っては、甘党の春稀に試食をさせていた。
先程、由佳が春稀に渡したのも、その一つだ。


「じゃね!」

学校に着き、春稀とクラスの違う由佳は、長いストレートヘアーを揺らしながら、教室へと向かった。


「由佳!」

教室に入る寸前、春稀は由佳を呼び止めた。


「何?」

「チョコ、サンキュ。うまかった」


春稀がそう言うと、彼女の顔からは笑みがこぼれたと同時に、赤くなった。


「うん!じゃね!バイバイ!」


由佳は逃げるように教室へ入った。
そんな由佳を見て、春稀の顔にも笑みがこぼれた。


「…やっぱ、すげぇ可愛い」

「それは、彼女イナイ歴16年の俺への見せ付けですか、コノヤロー」


不意に、後ろから声がしたかと思うと、春稀の後頭部から鈍い音がした。
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