Death Contract‐死神の契約‐
「春稀…」


中には椅子に座っている翔、ハンカチで目元を抑える裕美の姿があった。
そしてベッドには、頭、腕、脚に包帯を巻いた由佳がグッタリと横たわっていた。


「由佳…」


春稀はベッドへと近付いた。翔は黙って席を譲った。


「塾の帰りだったらしい。曲がってきた車にひかれたんだ。俺はたまたまコンビニに居てな。ものすげえ音がしたから外出たら由佳が……。車はそのままどっか行きやがった」

「……ひき逃げか」

「…ああ」

「…畜生。何で由佳が……」


春稀は由佳の手を取り、握りしめた。
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