夏の終わりにピュアな恋を
◇
時東茜は二十七歳、会社員。
カフェの店員は水口浩輝、二十一歳、大学生アルバイト。
「浩輝くん大学生だったんだ。てっきりここの店員さんかと思ってたわ」
「あはは、老け顔なんでそう見られがちなんですけど、まだ一応若いんですよー」
「顔も十分若いわよ。しっかりしてるからそう見られるんじゃないかしら?」
「茜さんにそう言ってもらえると何か自信つきますね」
浩輝は丁寧な所作で注文の品であるオムライスとサラダのセットを置いていく。
「ごゆっくりどうぞ」
ニッコリと微笑んで去っていくその姿は後腐れがなくて実に爽やかだ。
会話はするけれど一言二言。
最初に基本情報だけは交換したが、それ以上はお互いに干渉しない。
ただの客とただの店員なのだから、それが当たり前といえば当たり前なのだけど。
だけど自然とお互い名前で呼び合う関係にまでは発展している。
もう少し彼の人となりを知りたいような気がするけれど、この距離感がちょうどいい気もする。
それに、この店にくるたびに茜が持っている浩輝の情報がアップデートされていくようで、何だか嬉しい。
(弟がいたらこんな感じなのかしら?)
兄弟のいない茜にとって、年下の浩輝とおしゃべりすることはとても新鮮に思えた。
勤めている会社では秘書課に所属しており女性が多いし、社長や副社長、管理職はみな年上の男性ばかり。
だからなおさら浩輝のフレッシュさが映えるし、彼自身もとても人懐っこく愛想がいいため物珍しく感じるのかもしれないなと勝手に分析した。
時東茜は二十七歳、会社員。
カフェの店員は水口浩輝、二十一歳、大学生アルバイト。
「浩輝くん大学生だったんだ。てっきりここの店員さんかと思ってたわ」
「あはは、老け顔なんでそう見られがちなんですけど、まだ一応若いんですよー」
「顔も十分若いわよ。しっかりしてるからそう見られるんじゃないかしら?」
「茜さんにそう言ってもらえると何か自信つきますね」
浩輝は丁寧な所作で注文の品であるオムライスとサラダのセットを置いていく。
「ごゆっくりどうぞ」
ニッコリと微笑んで去っていくその姿は後腐れがなくて実に爽やかだ。
会話はするけれど一言二言。
最初に基本情報だけは交換したが、それ以上はお互いに干渉しない。
ただの客とただの店員なのだから、それが当たり前といえば当たり前なのだけど。
だけど自然とお互い名前で呼び合う関係にまでは発展している。
もう少し彼の人となりを知りたいような気がするけれど、この距離感がちょうどいい気もする。
それに、この店にくるたびに茜が持っている浩輝の情報がアップデートされていくようで、何だか嬉しい。
(弟がいたらこんな感じなのかしら?)
兄弟のいない茜にとって、年下の浩輝とおしゃべりすることはとても新鮮に思えた。
勤めている会社では秘書課に所属しており女性が多いし、社長や副社長、管理職はみな年上の男性ばかり。
だからなおさら浩輝のフレッシュさが映えるし、彼自身もとても人懐っこく愛想がいいため物珍しく感じるのかもしれないなと勝手に分析した。