ヒルダの約束
エピローグ
 瓦礫のあいだでうずくまっている彼を憲兵が捕えた。彼は抵抗しなかった。オットーは軍法会議にかけられた。罪状は脱走と味方の殺害。部下を撃ち殺したのを知られたらしい。

 目の前にずらっと並んだ銃殺隊の前で、最期の瞬間に、彼はあの日のことを思い出していた。

 川に落ちた小さなヒルダ。ずぶぬれの彼女へ、僕が守ると約束した。ヒルダは、いつかお兄ちゃんのお嫁さんになるって言ってくれた。

 僕は、すぐ近くに君がいたのに、君の気持ちは変わってなどいなかったのに、ずいぶん遠回りして、取り返しのつかない馬鹿なことをした。

 ヒルダ。ごめんね。お兄ちゃんはきみを守ってやれなかったよ。

Auf Wiedersehen. dir mein Schatz.
< 24 / 24 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

純愛不倫の恋
想夏/著

総文字数/8,469

恋愛(純愛)28ページ

表紙を見る
マンハッタン・キス☆Till I hear you say you love me
想夏/著

総文字数/7,096

恋愛(純愛)21ページ

表紙を見る
悪魔のLiar game(ライアーゲーム)
想夏/著

総文字数/4,505

恋愛(純愛)8ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop