コーヒー店のアールグレイ女史

私は思い切って声をかけた。

「こんばんは! 」

「えっ? あっ、アールグレイ女史・・・」

「アールグレイ女史? 」

「すみません。お店でそう呼んでいるもので・・・ゴメンナサイ。」

「そうなの? そうよね、コーヒー店で紅茶しか飲まない人ってあまりいないものね。私ってお店の人に覚えられている? 」

「あっ、はい・・・。みんな知ってます。あの~、お近くなんですか? 」

「そうね。ここから5分位。」

「それだとHARUMI COFFEEからも遠くない。そんなに近いのに、毎日お店に来ていただいて・・・」

「そうよね、おかしいわよね。でも、朝あのお店に寄ってゆっくりと美味しいアールグレイティーを飲んで今日も一日仕事頑張るぞって切り替えているの。」

「そうなんですね。いつもスーツ姿でバリバリのキャリアウーマンって感じですもんね。あっ、誉め言葉です。」

「ありがと。あのお店のアールグレイティーは本当に美味しいし、毎日あなたがいってらっしゃい!って言ってくれるのもうれしいの。」

「そ、そうですか。」

彼は照れていた。
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