❤️俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る
第七章 記憶にない工藤飛鳥
「覚えていないのか」
「はい」
この時、祐志さんは起点を利かせて、本当のことは伏せた。
「まゆは買い物に行って、途中でめまいを起こしたんだ」
「めまい?」
「もう、大丈夫だ」
「ごめんなさい」
「どこも痛いところはないか」
「大丈夫です」
この病院には工藤さんも入院していた。
私は解離性健忘になっていた。
つまり、工藤さんのことは覚えていない状態だった。
「しばらく入院した方がいい、ここは俺の病院だから安心しろ」
「はい」
「また、様子を見にくる」
祐志さんは病室を後にした。
私は病室から出て、売店に向かっていた。
廊下で私の前を杖をついて歩いている男性がいた。
その男性は、キーホルダーを落とした。
「あのう、落としましたよ」
そのキーホルダーを拾って、渡そうとした時、これは私が無くしたものと気づいた。
そしてその男性は振り向いた。
工藤飛鳥、私を命がけで助けてくれた極道。
でも私の記憶の中に彼はいない。
「これ」