❤️俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る
第七章 記憶にない工藤飛鳥

「覚えていないのか」

「はい」

この時、祐志さんは起点を利かせて、本当のことは伏せた。

「まゆは買い物に行って、途中でめまいを起こしたんだ」

「めまい?」

「もう、大丈夫だ」

「ごめんなさい」

「どこも痛いところはないか」

「大丈夫です」

この病院には工藤さんも入院していた。

私は解離性健忘になっていた。

つまり、工藤さんのことは覚えていない状態だった。

「しばらく入院した方がいい、ここは俺の病院だから安心しろ」

「はい」

「また、様子を見にくる」

祐志さんは病室を後にした。

私は病室から出て、売店に向かっていた。

廊下で私の前を杖をついて歩いている男性がいた。

その男性は、キーホルダーを落とした。

「あのう、落としましたよ」

そのキーホルダーを拾って、渡そうとした時、これは私が無くしたものと気づいた。
そしてその男性は振り向いた。

工藤飛鳥、私を命がけで助けてくれた極道。

でも私の記憶の中に彼はいない。

「これ」

< 59 / 263 >

この作品をシェア

pagetop